日々、パソコンの前で仕事をしている現代人にとって、季節を知らせてくれるのは、カレンダーです。
デジタルカレンダーだったり、キッチンの壁にかけたカレンダーです。
1枚剥がすたびに、月が変わることを知らせてくれます。
でも、昔の日本人は季節を自然からもっと身近に、もっと細やかに捉えていたようです。
前回、こんな記事を書きました。
書いた後に、もっと日本人の季節の捉え方を知りたいと思い、二十四節気と七十二候のことを調べてみました。
結論から申し上げますと、4つの季節の中に、一年を約15日ごとに分けたものが二十四節気。さらにそれを約5日ごとに分けたものが七十二候です。
つまり一年には、72もの「小さな季節」があるのですよ。
風が変わった。
花が咲いた。
虫が鳴き始めた。
朝露が白く光った。
そんな小さな変化を、昔の日本人は季節の声として受け取っていたのでしょうね。
二十四節気と七十二候
季節の目安つき一覧
ここでは、日本の四季を小さな季節に分けて一覧にしてみました。
🌸 春
🌱 立春(りっしゅん)|2月4日頃
暦の上では春の始まり。まだ寒さの中にも、少しずつ春の気配が現れます。
・東風解凍(はるかぜこおりをとく)
・黄鶯睍睆(うぐいすなく)
・魚上氷(うおこおりをいずる)
🌧️ 雨水(うすい)|2月19日頃
雪が雨へと変わり、凍っていた大地が少しずつ潤い始める頃。
・土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)
・霞始靆(かすみはじめてたなびく)
・草木萌動(そうもくめばえいずる)
🐛 啓蟄(けいちつ)|3月5日頃
冬ごもりしていた虫たちが、春の気配に誘われて動き始めます。
・蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)
・桃始笑(ももはじめてさく)
・菜虫化蝶(なむしちょうとなる)
🌸 春分(しゅんぶん)|3月20日頃
昼と夜の長さがほぼ同じになり、本格的な春へ向かう節目。
・雀始巣(すずめはじめてすくう)
・桜始開(さくらはじめてひらく)
・雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)
🌿 清明(せいめい)|4月5日頃
空も大地も明るく清らかになり、草木が生き生きする季節。
・玄鳥至(つばめきたる)
・鴻雁北(こうがんかえる)
・虹始見(にじはじめてあらわる)
🌾 穀雨(こくう)|4月20日頃
春の雨が穀物や草木を潤し、田畑にも命が満ちていく頃。
・葭始生(あしはじめてしょうず)
・霜止出苗(しもやんでなえいずる)
・牡丹華(ぼたんはなさく)
🌿 夏
🌞 立夏(りっか)|5月5日頃
暦の上では夏の始まり。新緑が美しく、生命力に満ちる季節です。
・蛙始鳴(かわずはじめてなく)
・蚯蚓出(みみずいずる)
・竹笋生(たけのこしょうず)
🌱 小満(しょうまん)|5月21日頃
草木や生きものが成長し、天地に生命が満ちてくる頃。
・蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)
・紅花栄(べにばなさかう)
・麦秋至(むぎのときいたる)
🌾 芒種(ぼうしゅ)|6月6日頃
稲や麦など、穂の出る植物の種をまく頃。梅雨の気配も近づきます。
・螳螂生(かまきりしょうず)
・腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)
・梅子黄(うめのみきばむ)
☀️ 夏至(げし)|6月21日頃
一年で最も昼が長く、太陽の力がもっとも満ちる頃。
・乃東枯(なつかれくさかるる)
・菖蒲華(あやめはなさく)
・半夏生(はんげしょうず) ※雑節では「はんげしょう」と読みます
🎐 小暑(しょうしょ)|7月7日頃
本格的な暑さが始まる頃。梅雨明けも近づきます。
・温風至(あつかぜいたる)
・蓮始開(はすはじめてひらく)
・鷹乃学習(たかすなわちわざをならう)
🌻 大暑(たいしょ)|7月23日頃
一年でもっとも暑さが厳しくなる季節。夏の盛りです。
・桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)
・土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)
・大雨時行(たいうときどきにふる)
🍂 秋
🍃 立秋(りっしゅう)|8月7日頃
暦の上では秋の始まり。暑さの中にも、風や光に秋の気配が混じり始めます。
・涼風至(すずかぜいたる)
・寒蝉鳴(ひぐらしなく)
・蒙霧升降(ふかききりまとう)
🌾 処暑(しょしょ)|8月23日頃
厳しい暑さが少しずつ和らぎ、朝夕に秋を感じ始める頃。
・綿柎開(わたのはなしべひらく)
・天地始粛(てんちはじめてさむし)
・禾乃登(こくものすなわちみのる)
💧 白露(はくろ)|9月7日頃
朝晩が涼しくなり、草花に白い露が宿り始める頃。
・草露白(くさのつゆしろし)
・鶺鴒鳴(せきれいなく)
・玄鳥去(つばめさる)
🌕 秋分(しゅうぶん)|9月23日頃
昼と夜がほぼ同じ長さになり、秋が深まり始めます。
・雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)
・蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)
・水始涸(みずはじめてかるる)
🌾 寒露(かんろ)|10月8日頃
露に冷たさが増し、秋の深まりをはっきり感じる頃。
・鴻雁来(こうがんきたる)
・菊花開(きくのはなひらく)
・蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)
🍁 霜降(そうこう)|10月23日頃
朝晩の冷え込みが強まり、霜が降り始める頃。
・霜始降(しもはじめてふる)
・霎時施(こさめときどきふる)
・楓蔦黄(もみじつたきばむ)
❄️ 冬
🍂 立冬(りっとう)|11月7日頃
暦の上では冬の始まり。木枯らしや朝晩の冷え込みが目立ち始めます。
・山茶始開(つばきはじめてひらく)
・地始凍(ちはじめてこおる)
・金盞香(きんせんかさく)
❄️ 小雪(しょうせつ)|11月22日頃
山には初雪が見られ、本格的な冬が少しずつ近づいてきます。
・虹蔵不見(にじかくれてみえず)
・朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)
・橘始黄(たちばなはじめてきばむ)
⛄ 大雪(たいせつ)|12月7日頃
山々だけでなく平地にも雪が降り始め、冬らしさが増す頃。
・閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)
・熊蟄穴(くまあなにこもる)
・鱖魚群(さけのうおむらがる)
☀️ 冬至(とうじ)|12月22日頃
一年で昼が最も短い日。ここから少しずつ光が戻り始めます。
・乃東生(なつかれくさしょうず)
・麋角解(さわしかのつのおつる)
・雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)
🧊 小寒(しょうかん)|1月5日頃
「寒の入り」。一年でもっとも寒い時期へ入っていきます。
・芹乃栄(せりすなわちさかう)
・水泉動(しみずあたたかをふくむ)
・雉始雊(きじはじめてなく)
❄️ 大寒(だいかん)|1月20日頃
一年でもっとも寒さが厳しい頃。その奥には、もう次の春が控えています。
・款冬華(ふきのはなさく)
・水沢腹堅(さわみずこおりつめる)
・鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)
そして、大寒を越えると再び立春へ。
季節は終わるのではなく、ぐるりと巡って、また新しい一年へつながります。
※二十四節気の日付は年によって1日程度前後します。ここではおおよその目安を記載しています。
こうして見ると、七十二候の名前は、「その頃、自然の中で何が起きているか」をそのまま言葉にしているんですよね。
つまり、「何月何日です」という数字ではなく、花、鳥、虫、風、雨、霜、雪、動物の動きで自然の変化を読み取るための暦なのかもしれません。
72候を「覚える」のではなく「感じてみる」
もちろん、七十二候を全部覚える必要はないと思うのです。
むしろ私は、暦を自然を見るためのきっかけとして使うくらいが、現代の暮らしにはちょうどいいと思っています。
朝の光が少し変わった。
夕暮れが早くなった。
スーパーに桃や梨が並び始めた。
蝉の声に秋の虫の声が混じってきた。
暖房をつけ始めた
散歩道にたんぽぽが咲いた
「あ、季節が動いた」そんな瞬間に気づければ、それで十分。
都会にいても、忙しくても、季節はちゃんと私たちのそばにありますものね。
「今の私は、どんな季節?」
そしてもうひとつ。
自然を見るだけではなく、自分自身の中の季節を問いかけてみませんか。
今の私は、どんな季節だろう?
何かを始める時なのか
育てる時なのか
実りを受け取る時なのか
何かを手放す時なのか
それとも、静かに休む時なのか
自然には、芽吹く季節も、花咲く季節も、葉を落とす季節もあります。
人間だって同じです。
成長する季節、育てる季節、実りの季節、手放す季節。
立ち止まる季節もあれば、自分のペースをゆっくり味わう季節があってもいいと思うのです。
自然がそれぞれの時を知っているように、私たちにも私たちなりのリズムがあります。
今の自分の波を感じ、その波に自然に乗っていく。
それはきっと、自分を急かさず、自分のリズムを信頼する、無理のない生き方につながっていくのだと思います。
自分だけの七十二候を感じてみる
七十二候に描かれた自然と、今、私たちの目の前にある自然は、必ずしも同じではありません。気候が変わり、季節の境目も曖昧になってきました。
だからこそ、暦を「正解」として眺めるのではなく、昔の自然と今の自然を比べるものとして楽しむと良いのではないかと思います。
「そろそろ涼風至(すずかぜいたる)。でも今年はまだ暑いね」
「あら、金木犀が香ってきたわ」
「今年は蝉がいつまで鳴いているんだろう」
「夕方の風に秋を感じるね」
「今年初めてブーツを履いたわ」
「温かいお茶が欲しくなったな」
「猫が日向で眠っているわ」
そんな小さな変化を、一行だけ書き留めてみるのもいいかもしれませんね。
それはきっと、昔の暦には載っていない、自分だけの七十二候。
ほんの一瞬、スマホから目を上げて、「あ、風が変わった」と気づいてみる。
時計の時間から少し離れて、自然の時間へ戻ってみる。
そんなふうに、自分のいる場所の季節を感じてみる。
七十二候を知ることは、失われつつある季節を懐かしむことではなく、今ここにある自然を、もう一度よく見ることなのかもしれません。
さんは、今日、何から季節を感じましたか?
コメントで教えてくださったら嬉しいです。






ゆかりっくさん、こんにちは😆
朝晩が少し涼しいなってきたように感じますね。
10年前くらいなら、それでも暑がっていたと思います。寒さに敏感になってきたのかもしれませんね😱