なぜ、もうひとつ新しい出版物を作ったのか
先月、フランスとソウルに行ってきました。二つの旅は、全くの正反対でした。
フランスは、とにかく美しかった。文化も、街の風景も、行き交う人たちも。
どこを切り取っても美しくて、自分の知っている世界の外に出たことを、体で感じました。
遠い国に行くと、日本との違いに気づきます。
違いに気づくと、自分が何を「当たり前」にしていたかが問われてきます。
旅の面白さは、そこで自分の前提が改めて問いかけられ、新しい視点が加わることです。
ソウルは逆でした。活気があって、街に勢いがある感じを受けました。
そして海外に来たというより、同じアジアの国へ、ちょっと足を伸ばした感覚で、親近感を感じました。
遠い国は「違い」を、近い国は「近さ」を教えてくれる。
そして改めて思いました。
やっぱり私は、旅が好きだ!
海の向こうで聞いた、同じ言葉
去年(2025年)は、アラスカやアメリカ西海岸を旅しました。インドやタイにも、足を運びました。
どの土地でも、出会った人たちとお話しをしました。
そして、お話ししたほぼ9割の人が、同じことを言ったんです。
「日本に行ったことがあるよ」
「また行きたいんだ」
統計を取ったわけではありません。
でも、土地も文化も違う人たちから、これだけ繰り返し同じ言葉を聞けば、偶然とは思えませんでした。
海外の人は日本の何に魅力を感じているのか
一番多かった声は、三つです。
「日本人は親切だ。英語が分からなくても、一生懸命説明しようとしてくれる」
「日本は安全で、きれいだ。」
そして、「日本は安い!」
最初の二つは、日本に暮らしていると、当たり前すぎて気づかないことです。
でも外から見ると、それが旅の安心になっているんですね。
私は日本に暮らしていますので、内側から日本を見ています。
その私が、外から日本を見ている人たちと話したことで、視点がひっくり返るんですね。
円安が海外ツーリストを呼び寄せる
今の日本が魅力的に見える理由には、円安の影響も大きいと思います。
今の日本は、海外旅行者のお財布にやさしい国です。
私は去年も今年も、アメリカとフランスで逆のことを感じました。
「欧米は高い!」と。
旅には、お財布事情も大切です。
欧米でランチは今の日本円にすると4,000円、5,000円が当たり前。パリでは、三つ星ホテルが日本円で4〜5万円しました。
今の日本は、ランチが2,000円くらい。三つ星ホテルでも2万円くらいです。
約2倍ですよね。
日本で暮らしている私は、日本の物価は「ずいぶん高くなったな」と感じます。
でも海外から来る人の体感は、まったく違って映っているのですね。
海外の人が日本を再び訪れる理由
けれど、お財布の事情だけなら、海外の人が「日本にまた行きたい」とまでは言わないはずです。
安さは入口。戻ってくる理由は、別にあると思います。
美味しい日本食
ミシュランのような高級店だけの話ではありません。
寿司、すき焼き、焼肉、ラーメン、天ぷら。
コンビニや、立ち食いそばまで、水準が高いですよね。
お話をした人たちは、みんな口を揃えて言いました。
「おいしかった!」と。
アラスカのクルーズ船のクルーに人気だったのが、回転寿司です。
ベルトコンベアに乗って、寿司が運ばれてくる。
その中から、好きなものを自分で選べる。
東京で回転寿司に行った時のことです。
隣の席にはアメリカ人らしき子供づれのご家族が座っていました。
彼らのテーブルには、うず高く積み上げられた小皿の山!
生魚に慣れていないはずの海外の人が、こんなに食べるなんて、かなり驚きでした。
回転寿司は日本に暮らしていると、当たり前の光景です。
でも海外から来た人には、食べる楽しさも、選ぶ楽しさもある、特別な体験なんですね。
正しく運行する電車
日本では、新幹線も電車も、時間通りに動きます。
乗り継ぎの多い旅でも、計画が崩れにくいですよね。
パリのモンパルナス駅でのことです。
私は初めてのTGVに乗ったのですが、実は乗りこむまでハラハラしました。
列車は何番線に到着するのか、出発する30分くらい前まで分からないのです。
ですから、電光掲示板の前で何人もの人が自分の列車が表示されるのをずっと待っていました。
日本の電車は何時に到着し、何時何分に出発するのか、ホームの番号も当たり前のように決まっています。
日本人にとったらこれも当たり前ですが、世界の外側の目から見ると、かなり優秀です。
古いものと新しいものの同居
日本では、面白い光景が広がる場所があります。
神社の隣にビルが建ち、城下町にコンビニがある。あなたの町もそんな光景が広がっていませんか?
その落差を、面白がる海外の人は多いはずです。
日本の美しい四季
地球温暖化の影響で、気温が上がり、少しばかり季節のメリハリは薄くなったようにも感じますが、それでも日本には四季があります。
春の桜、夏の陽光、秋の紅葉、冬の雪。
それぞれの季節が、同じ場所にそれぞれの季節の風景を彩ります。
「別の季節に、もう一度」が、再訪の理由になるのでしょうね。
親切な日本人
「おもてなし」は流行語にもなりましたが、日本の精神文化として根付いています。
丁寧で、押しつけがましくない。
「英語が分からなくても、身振り手振りで、最後まで説明しようと付き合ってくれたんだ」と、あるアメリカ人が教えてくれました。
その経験が、「また行きたい」につながっているのだと思います。
海外で聞いた「日本人は親切だ」という言葉は、ここにつながっていると思います。
そして、祈りが今も生きている
神社仏閣は、観光だけのものではありません。
地元の人が、今日も手を合わせている場所です。
歴史と信仰が、暮らしの中で続いています。
これは、他の国ではなかなか味わえない体験だと、私は思っています。
そして、この最後の「祈り」こそが、私が日本を旅する理由なのです。
私が日本で訪れてきた場所
私が日本国内で訪れてきたのは、その「祈りが生きている場所」です。
武将、お城、パワースポット、神社仏閣。
これらは、ただの観光地ではありません。
歴史と、信仰心と、土地の記憶が重なっている場所です。
時間の層が厚い場所ほど、訪れる人の感じ方も深くなると思っています。
私はこれまで正確に数えたことはありませんが、おそらく100箇所以上の聖地やお城を巡ってきました。
だったら、私にも書けることがある。
海外の人に向けて、日本の素晴らしさを紹介してみよう、
そう思って作ったのが、新しいパブリケーション「Sacred Japan Now」です。
» https://substack.com/@yukarikjapan よかったら購読してくださいね。
英語発信だけど、翻訳機能で日本語で読めます。
行った場所だけでなく、これから行く聖地も
「Sacred Japan Now」では、行った場所だけではなく、
まだ行っていない場所、これから行きたい場所も書きます。
理由は二つあります。
ひとつは、それが私自身の旅の計画になるからです。
調べて、考えて、行き先を選ぶ。その過程そのものが、旅の半分だと思っています。
もうひとつは、同じ場所に行きたい人の役に立つからです。
完成した案内書よりも、「これから行く人」が書く記録のほうが、読む人と同じ目線に立てる。
私は専門家として教えるより、旅を楽しむ一人として書きたいのです。
実は、日本の中にも、私がほとんど行ったことのない場所があります。北関東と東北です。
私は関西に住んでいたせいもあり、関西人にとったら、東北を飛ばして北海道の方に行っちゃうんですよ。
なので、これまであまり足を運ばなかった場所も訪れて見たいと思っています。
これから訪れてみたいのは、たくさんありますが、まずはこの三か所を訪れたいと思っています。
日光東照宮(栃木)
徳川家康を祀る場所です。
武将が、神として祀られる。その意味を、現地で確かめたいと思っています。
平泉・中尊寺(岩手)
奥州藤原氏が築いた、黄金の文化の地です。
東北の奥に、これほどの文化があった。その事実を、自分の目で見たいのです。
会津若松・鶴ヶ城(福島)
幕末の歴史が残る城です。
勝った側ではなく、負けた側の歴史に立つ。そこで何を感じるのか、感じてみたいと思っています。
海外では、ヨーロッパ各地や、まだ行ったことのない中央アジアの国々も訪れたい。
日本では、まだ知らない聖地を歩きたい。
行きたい場所が尽きないのは、好奇心が旺盛なせいかもしれませんね。
成熟カルチャー研究室について
もちろん、当パブリケーションの「成熟カルチャー研究室」も続けてゆこうと思っています。
私は、普通なら退職していてもおかしくない年代です。
でも、人生は最後まで味わい尽くしたい。
成熟した大人が楽しく生きている姿を体現して、若い人たちに、未来に希望を見出してもらえたらと思っています。
だって、若い世代の彼らがこれからの日本を作ってゆくのですから。
明るい未来の方がいいでしょ?
そして、私自身は、成熟するとは、どういうことなのか。
どう生きれば、年を重ねることが楽しくなるのか。
その模索も、新しい挑戦も、続けてゆこうと思っています。
書いて発表する場所は二つになりました。
でも、根っこにある問いは、ひとつです。
人は、世界を、人生をどこまで面白がれるのだろうか?という問いです。
私は、それを自分で試していきたいと思っています。




